医師・研究者向け情報

本ページは治験や臨床試験を含む臨床研究を行う医師や研究者の方向けに、実施に必要な情報を掲載しています。

臨床研究の種類

臨床研究には、医師主導の治験とそれ以外の臨床研究がある。 治験は薬事法第2条において、「この法律で「治験」とは、第14条第3項(同条第9項及び第19条の2第5項において準用する場合を含む)の規定により提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施をいう」と定義されている。新薬(適応拡大も含む)の製造販売を目的とした申請の為に行う臨床試験が治験であり、実施するためには厚生労働省大臣に治験の計画の届出が必要となる。

2002年の薬事法改正により製薬企業だけではなく、医師も治験を実施できるようになり医師により実施される治験を医師主導治験という。

ただし、医師は医薬品の製造販売を行うものではないので、承認申請はできず、承認申請しようとする製薬企業に治験データを提供し、製薬企業との連携により承認申請を目指すこととなる。


臨床研究と倫理性

臨床研究では人を対象としており、その安全と権利、プライバシーは守らなければならない。

【倫理原則】
- ヘルシンキ宣言の基本原則 -
ヘルシンキ宣言は、人を対象とした医学研究を実施する際に、医師を含めたすべての関係者が遵守すべき倫理指針である。世界医師会が1964年にヘルシンキ総会で採択したためにこの名前で呼ばれている。ヘルシンキ宣言の基本原則として下記が挙げられる。
1.被験者の福利の優先
2.本人の自発的・自由意思による参加
3.インフォームドコンセント
4.独立した審査委員会による審査、監視
5.研究の科学性

ヘルシンキ宣言(医師会訳)


臨床試験と治験の違い

【届出と登録について】
医師主導治験・治験にのみ義務付けられており、治験届を厚生労働大臣に提出しなければならない。その他の臨床試験には特に届出の義務はない。 ICMJE(International Committee of Medical Journal Editors、医学雑誌編集者国際委員会)は、2004年に臨床試験の結果を論文掲載するにあたり、一定の条件を満たした登録制度に予め登録することを必要条件とすると声明した。
日本でその条件を満たす登録制度として3つの登録システムがある。

1.国立大学病院医療情報ネットワーク(UMIN)

2.日本医師会治験促進センター

3.日本医薬情報センター(JAPIC)

【関連する法律】
医師主導治験・治験は、それに関与する者全てが従わなければならない公的な規則Good Clinical Practice(GCP)がある。GCPはそれ以外の臨床試験には適用されないが、臨床試験を実施するにあたり当然遵守すべき指針として、厚生労働省、文部科学省、経済産業省等関連する省庁より倫理指針が出されている。

GCP

医学研究に関わる倫理指針


抗悪性腫瘍薬の臨床試験の開発段階(フェーズ)

【第1相試験】
第1相試験は、新規抗悪性腫瘍薬をヒトに初めて投与する臨床試験で薬物有害反応を主に評価する。薬物有害反応の出現確立に基づいて最大耐量を推定し、第2相試験における至適投与量・投与方法を決定する。薬物有害反応に関する評価基準として米国国立がん研究所(NCI:National Cancer Institute)のCommon Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE)が世界の標準的評価法として利用されている。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)と日本癌治療学会により日本語訳が発表されている。

抗悪性腫瘍薬の臨床試験では、第1相試験から対象が悪性腫瘍を有する症例で、標準的な治療がない症例に限定されていることが他疾患の臨床試験と大きく異なる点である。

【第2相試験】
第2相試験では、腫瘍縮小効果の評価が主な目的としている。第1相試験より推定された至適投与量、投与スケジュールで開始される。

【第3相試験】
新規抗悪性腫瘍薬の第3相試験は製造販売後臨床試験として行われている。新規抗癌剤開発の目的は生存期間の延長である。
第3相試験では、現時点で最も有効とされる治療方法との比較を行い、新しい治療方法が標準的治療となり得るかを評価する。
第3相試験の主要評価項目は生存期間中央値(median survival time:MST)におかれることが一般的である。

【第4相試験】
第4相試験は医薬品の承認後に行われる全ての試験であり、承認された適応に関連したものである。これらのデータは医薬品の適正使用のために重要である。安全性試験、死亡率/罹患率をエンドポイントにする試験、疫学試験などがある。承認時の被験者数は少ないことから、その時点では長期の有効性と安全性の情報は保証されていない。そのためその情報を収集する為に実施するのがこの段階である。
第4相は医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準(GPSP)に基づいて行われる。