厚生労働省は、平成23年度からHTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的検査項目に追加すると決定しました。それに伴い、このページでは初めてHTLV-1抗体検査を受けるお母さんやそのご家族を対象とし、検査の種類や赤ちゃんへの感染の予防について説明しています。
妊婦検診での検査の方法は妊娠30週までに血液検査を行ってHTLV-1ウイルスの抗体があるかを調べます。
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採血した血液を用いて検査しますが、その方法にはいくつか種類があり、妊婦健診時の検査はPA法もしくは化学発光法という検査方法でまず測定されるのが一般的です。これらの検査は簡易検査なので、陽性と出てもすぐにキャリアであることが確定する訳ではありません。これらの検査で陽性と出た場合は、必ず確定診断の為の検査(ウエスタンブロット法)を受けて下さい。それでも判断がつかない場合もあります。
詳しくは「検査」のページをご覧ください。
確定診断の為の検査(ウエスタンブロット法)により「判定保留」の場合、一般に感染していないか、感染していても感染力が弱いことが多い
とされています。さらに詳しい検査を希望される方にはPCR法という検査で確認する方法がありますが、この検査は保険適応となっていない為、自費で検査を受けて頂く必要があります。
感染しているお母さんから赤ちゃんへ感染する主な原因は母乳です。これは母乳の中にHTLV-1に感染した細胞が含まれているためで、生後4カ月以上母乳を飲ませ続けた場合、赤ちゃんの5人に1人(約20%)が感染することが知られています。感染を防ぐ方法としては、人工栄養(粉ミルク)への切り替えなどの方法があります。これらの方法によりかなりの感染を防ぐことはできます。
一切、母乳を与えず、人工乳のみで哺育しても約3%の感染率は認められていますので、完全に感染を防ぐことはできません。十分に説明を聞いていただいたうえで、授乳をどうするかはお母さんになられる方の意志で決めることができます。詳しいことは産科の主治医の先生等とご相談ください。
以下のように色々な選択肢がありますので、ご自身やご家族の希望を伝えた上で主治医の先生とご相談して決めて下さい。
新生児期には、お母さんから赤ちゃんへ移行した抗体(移行抗体と呼ばれています)があるため、検査をしても感染しているのか、あるいはその移行抗体の影響で陽性と出ているのか判断できません。その判断が確実にできる時期としては、満3歳以降が良いといわれています。
HTLV-1に感染していても、妊娠に特別な影響はなく、普通に出産することができます。また、このウイルスが原因で赤ちゃんに奇形を生じたり、生まれた後の発育に影響したりするなど、何らかの異常を起こすことは全くありません。
感染している方の中のごく一部にATLやHAMなどの病気を発症する人がいますが、ほとんどの人は特にこれらの病気になることなく生涯を過ごすことができます。
HTLV-1について、またキャリアについての詳しい説明はこちらへ